母体心疾患
当院の方針
当院ではこれまで、先天性心疾患や、心疾患術後の方、不整脈を持ち、β遮断薬などの内服薬を飲まれている方など、2014年から2018年までに約150名の方の心疾患を持つ女性の妊娠・出産を管理してまいりました。安全に妊娠・出産できることを、第一の目標にしています。
大事なことは、以下であると考えます。
- 妊娠が可能かどうかの妊娠前の相談
- 妊娠中の定期的な心機能検査
- 計画出産(予定入院、和痛分娩、心内膜感染症予防の抗生剤)
- 出産後の安静
妊娠相談
妊娠希望の方は、妊娠相談としてご受診ください。これまでの経緯や検査結果を踏まえて、お話をさせていただきます。パートナーとご一緒にご来院になると、より安心いただけます。
妊娠から出産
妊娠された方は、16週前後、30週前後、36週前後で心機能を評価し、安全なご出産となるようサポートいたします。
ご出産は38週前後から、体調管理のためにご入院となることがあります。
産科医師、循環器医師が連携をとってご出産をバックアップします。また和通分娩の適応となります。
産後
産後、改めて心機能を評価し、退院が一時的に延長されることがあります。母子同室も、状態を見ながら、少しずつ進めていきます。退院後も循環器医師と協力し、フォローいたします。
胎児心疾患
小児循環器科の医師と産科の医師が連携し、心エコー検査を行います。
胎児心エコー検査外来
胎児心エコーの流れ
- 胎児心エコーの実施
パートナーと同室で行います。
大事なお子様の超音波検査ですので、2名の小児循環器科専門医師が、 それぞれ検査を行います。 - 所見の確認
小児循環器科と産科の医師が共同で所見の確認を行い、心疾患がある場合は、治療方針の検討を行います。 - 結果説明
心疾患があった場合は、小児循環器科の医師が、イメージ図を基に、病名、分娩方法、治療についてご説明いたします。説明には、パートナーもご同席お願いいたします。
サポート体制
助産師と小児科の看護師が協力して、不安を感じられているお母さんとご家族をサポートいたします。
- 診察前の問診
心臓の検査が必要と聞くと、お母さんはとても不安が強くなります。
超音波検査の前にお母さんとしっかりとお話をし、不安を和らげます。 - 心疾患の結果説明への同席
先天性心疾患の診断を受けた場合、お子様の治療や成長発達に関して、様々な心配事が浮かんでくると思います。小児看護専門看護師が結果説明に同席し、丁寧にお話を伺います。 - 妊婦健診/出産準備の案内/相談対応
安心して出産が迎えられるよう、小児科看護師やソーシャルワーカーと連携し、助産師が継続してサポートいたします。
出産に際しては状態を見ながら37週前後より、分娩待機の入院となります。必ずしも帝王切開ということではなく、自然な分娩が迎えられるようサポートいたします。
小児看護専門看護師とは
当院の産科・小児循環器科では、小児看護専門看護師が活動をしています。
小児看護専門看護師とは、お子様の看護に関して一定の知識と技術を持つと認定された看護師であり、全国で約200人程度が登録する小児看護のスペシャリストです。
小児看護専門看護師の役割
小児看護専門看護師の役割は、お子様の成長と発達を促しながら、病気と向き合うお子様に最善の看護を提供することです。
そのために、そのご家族の生活環境に目を向けること、お子様が成人して社会生活を送ることを念頭に置くことが非常に重要です。
お子様とそのご家族が、病気を受け止め、安心して社会生活を送れるようにサポートします。
また、看護の実践を行いながら、一方では、スタッフ教育・コンサルテーション・研究・学会発表など、多岐にわたる活動を行っています。
当院の小児専門看護師の活動
当院は高度循環器専門病院であり、胎児から成人に至るまでの幅広い年代の患者さんが受診しています。
- 胎児期
胎児診断の進歩のおかげで、多くの先天性心疾患のお子さんが救命されるようになりました。
しかし、妊娠中に胎児の心疾患を告げれらることでご家族が受けるショックと不安の大きさは、以前と変わりません。
小児看護専門看護師は、助産師とともにご家族に寄り添い、お子様の治療や社会生活に関する不安にお答えし、ともにお子さまを迎える準備をします。 - 新生児期
入院加療をするお子様とご家族を病棟でサポートするだけでなく、外来では、就園・就学、発達・自立支援に関する相談に対応します。 - 成人移行期(思春期)
患者さんご自身が行う疾患管理、就労、将来の家族計画等について、ともに考え、支援します。