Loading...

心疾患について Heart disease

母体心疾患

当院の方針

様々な心疾患を持つ女性が、安心・安全に妊娠・出産できることを目指しています。
大事なことは、以下であると考えます。

  • 妊娠が可能かどうかの妊娠前の相談
  • 妊娠中の定期的な心機能検査
  • 計画出産(予定入院、無痛分娩、心内膜感染症予防の抗生剤)
  • 出産後の安静

妊娠前相談(プレコンセプションカウンセリング)

妊娠希望の方は、妊娠相談としてご受診ください。これまでの経緯や検査結果を踏まえて、お話をさせていただきます。パートナーとご一緒にご来院になると、より安心いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。

妊娠から出産

妊娠された方は、16週前後、30週前後、36週前後で心機能を評価し、安全なご出産となるようサポートいたします。
ご出産は38週前後から、体調管理のためにご入院となることがあります。
産科医師、循環器医師が連携をとってご出産をバックアップします。また、疾患により無痛分娩の適応となります。

産後

産後、改めて心機能を評価し、退院が一時的に延長されることがあります。母子同室も、状態を見ながら、少しずつ進めていきます。退院後も循環器医師と協力し、フォローいたします。

先天性心疾患(胎児心疾患)

近年、胎児のうちに超音波検査で心疾患を診断できるようになり、出生早期に適切な治療を開始できることから、重症な疾患でも救命・治療できる可能性が高まりました。
当院の産婦人科は、小児循環器内科・小児心臓血管外科・循環器内科・心臓血管外科・麻酔科・臨床遺伝科など、複数の診療科協働で診療しています。

当院の胎児心疾患合併妊娠の診療ポイント

  • 当院は、先天性心疾患(胎児心疾患)の診療を得意とする病院です。
  • 出生前から出生後まで、一貫して同じ病院で治療することができます。
  • 産婦人科医師と小児循環器内科医師の2名以上で、胎児精密超音波検査を行います。
  • 初診の際に、予測される病気、出生後の治療方針等について、小児循環器内科医師から説明を聞くことができます。
  • 赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法や、療育環境等を準備できます。
  • 小児循環器内科医師立ち会いで分娩するため、出生後直ちに治療を開始することができます。
  • 分娩は、経腟分娩・無痛分娩が可能です。
    (出生後、緊急治療が予測される場合は、帝王切開になることがあります)
  • 赤ちゃんが入院する病棟(小児集中治療室)は、お母さんが入院する病棟と同じ階にあります。
  • 産婦人科医師、小児循環器内科医師は、24時間勤務しています。

当院の胎児心疾患の妊娠・分娩・出生後のながれ

診断

診断は、産婦人科医師と小児循環器内科医師が連携し、胎児心臓精密超音波検査で行います。
心疾患を疑われていない方でも、心疾患の赤ちゃんの出生歴があり、精査をご希望される場合は、胎児心臓精密超音波検査を受けることができます。
受診時期は、妊娠18週~20週の期間でお願いします。

  1. 胎児心臓精密超音波検査
    最初に、産婦人科医師が心臓以外の全身の臓器の精密超音波検査を行います。
    次に、小児循環器内科医師が胎児心臓精密超音波検査を行います。
    大事な赤ちゃんの超音波検査のため、複数の医師で検査します。
  2. 超音波検査所見の検討
    産婦人科医師と小児循環器内科医師が検査結果を確認し、心疾患がある場合は現在の状態の検討を行います。
    診断に時間がかかる場合があります。
  3. ご本人・ご家族の方への説明
    心疾患があった場合は、小児循環器内科医師がイメージ図をもとに、診断名、妊娠中の管理、分娩方法、出生後の治療法などについてご説明します。
    説明には、パートナーの同席をお願いしています。
    その後、産婦人科医師より、今後の妊婦健診や分娩管理についてご説明・ご相談をします。

診断後の妊娠管理

当院に通院が可能であれば、妊婦健診に通院していただきます。
当院に通院することが困難な場合は、かかりつけの病院と相談し、個別対応をいたします。
また、心臓だけでなく、その他の臓器の異常がないかも精査するため、診断後は、2泊3日の精査入院をしていただきます。
入院中は、産婦人科医師による超音波検査だけでなく、小児循環器内科医師による胎児心臓精密超音波検査を行う場合があります。
退院後は、定期的に妊婦健診に通院していただき、安心・安全な分娩をサポートするため、37週以降は産婦人科病棟に分娩待機入院をしていただきます。

分娩待機入院・分娩・出生後

分娩方法は様々ですが、出生後、緊急治療が予測されない限り、経腟分娩を推奨しています。
概ねの目安として、遠方の方は37週からの待機入院(切迫徴候や合併症などがあれば早まります)、近隣の方は38~39週からの待機入院となります。
経腟分娩の適応がある方は、入院後は自然な陣痛が来ることを待ちますが、予定日を超えた場合は、分娩の誘発をします。

分娩は、小児循環器内科医師立ち会いのもとで行い、通常の経腟分娩・帝王切開の分娩管理をします。
ご希望があれば無痛分娩も可能です。

出生後の赤ちゃん

赤ちゃんは小児集中治療室に入院します。
様々な検査ののち、診断名が確定し、治療を開始します。
お母さんが入院する産婦人科病棟と同じ階にあるため、面会に行くことができます。

当院のサポート体制

  1. 小児集中治療室(PICU)の見学が可能
    精査入院、待機入院のうちいつでもPICUを見学することが可能です。
  2. ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム 榊󠄀原記念病院(DMFR)
    当院では、「心と身体の癒しの場」と「親同士のコミュニケーションの場」を提供する目的で、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営するDMFRを、小児病棟内に設置します。
    DMFRは入院中の子どものすぐそばにあり、家族のための心地よい家庭的な空間で、小児病棟に入院している患児に付き添っている家族のための部屋です。
  3. ソーシャルワーカー、臨床心理士によるサポート
    東京都の小児専門治療施設で治療が必要な子どもと家族の滞在をサポートするファミリー・ハウスという滞在システムがあります。
    妊娠中または出産後にお子さんが入院している間も利用することができます。
    妊娠中から当院のソーシャルワーカーに相談することができます。

    お子さんとご家族が、病気を受け止め、安心して社会生活を送れるようにサポートします。
    お子さんの胎児心疾患がわかったことによる精神的な不安や、出産後の生活の不安などを伺い、利用できる医療費助成制度等を個別にご提案します。
    また、分娩前から分娩後まで、臨床心理士による継続した支援を受けることができます。